聖教報道の美談が横領で逮捕
聖教新聞で報じた美談の学会員が横領災害弔慰金を高級車、飲食などにつかい込み
平成二十三年十月二十二日付の『聖教新聞』に、
〈両親を亡くした甥(おい)と共に、人々の幸せに尽くす生き方を誓う〉との見出しを付けた、震災遺児の未成年後見人になった男(ここではBとしておく)の〝美談〟が、写真付きで掲載された。
震災遺児となった甥のために再就職の話も断わり、自営で店を閧こうと苦心の日々を送るー 読む者の涙を思わず誘う、何とも麗(うるわ)しい話ではないか。
ところがこのB 、今年の二月二日に、仙台地方裁判所から懲役六年の実刑判決を言い渡されたのだ。
その罪状は「業務上横領罪」。A君の未成年後見人に選任されたことをいいことに、A君の預金口座に振り込まれた災害弔慰金やA君の両親の死亡共済金など、合わせておよそ六千八百万円を引き出して着服したとして、業務上横領などの罪に問われたのである。
Bはその金を、高級車や腕時計の購入や、平成二十四年に開業した飲食店の開業資金などに当てていた、というから驚きだ。
『聖教新聞』が報じたBの「苦心」とは、日本全国どころか世界からも甥に寄せられた善意の金を、いかにして横領するか「苦心」していた、ということかー。
被害者となったA君は、意見陳述書の中でこう述べている。
「おじさんには学校に行かせてくれてお世話になり感謝している。だけど殴られたり、けられたり、エアガンで撃たれたりして、自殺してしまいそうになった。裁判では、学費や塾の費用と言い逃れていてショックで驚いている。おじさんは高い時計を買ったり、寿司屋に週5回くらい行ったりして派手にお金を使っていた。私のためにお金を使ってもらったことはなかった。退職金や生命保険など、親が命と引き換えに残してくれた大切なお金を使ったと聞き、許せません。大人としてしっかり罪を自覚してもらいたい。大人として罪を償(つぐな) ってもらいたい。」
(『慧妙』平成29年2月16日付)